おとうふの優しさ…(それでもボクは生きていく)

銀行に勤めて若手だった頃のお話しです。
通らなかったご融資の案件は、いつまでも覚えていたりしますし、ふとしたときに
思い出してしまうことも少なくないのです。
さて、賑わいは衰えても商店街には、地元のおとうふ屋さんが1件はあったりします。
私の担当するエリアに商店街があり、そこにもおとうふ屋さんがありました、お店は古く、
なじみも多い、近々、修行したご子息が戻ってきて継ぐことになっていました。
こちらのお店は、もともと老若男女広い客層を獲得しておられましたので、この機会に
改装を核とした設備を含むリニューアル計画に必要な融資のお話しを受けました。
しばらくして、ご子息も店先に立ち、顔も売れ、その姿も商店街に馴染んできまし。
あたりも明るい雰囲気になり、お店のためにも、この商店街のためにも、どうしても通したい
案件でした。若い継承者がいるのだから大丈夫だろうと思いつつ、
情報をかき集めて、お話しをうかがい、何度も書き直して稟議書を起案しました。
でも、地域の急速な経済力の落ち込みやら、中小零細に対する若干慎重となる環境が
壁となったのか否決。上長同行もしたのに、なぜ。
大将が「お宅に口座あるだけでもいいやって思わなきゃね、せがれと一緒にもう少しがんばって
みるよ。これ体にいいよ」って豆乳をくれました。
大将ごめん、こっちの力不足だ、ごめん。本当に。
豆乳の入った容器のほんのりとした暖かさが身にしみて、本当に情けなかった。